「競馬サロン◇ケイバ茶論」の岩手競馬批判エントリ2つ


競馬組合が「諸所の判断が甘い」「行動が遅い」というのはまあその通りだと思うのですが、記事中にいくつか「それは事実と違うんじゃね?」という点が見られるので、そこら辺へのツッコミを。




ダートグレード競走実施日は、メイン以外の売上も増える

ところで、このテの指摘をすると「ダートグレードレース以外のレースを買う客が増える効果を無視している」という意見を必ず頂くのだが、実際、メインレース以外の売上げは他開催日とさほど変わらない。

変わらぬ依存体質 (競馬サロン◇ケイバ茶論)


岩手競馬 平成19年度のダートグレード競走実施日の売上

日付 競走名 1日の売上 メイン以外の売上 JRA開催の有無
7/16 マーキュリーC 3億6794万4400円 2億0518万7500円 あり(2回小倉)
8/15 クラスターC 4億1614万6700円 2億5338万9800円 なし
10/8 南部杯 4億7706万3400円 2億72万5600円 あり(4回東京・4回京都)

ダートグレード競走実施日、馬インフルエンザJRAが開催中止になった8/18〜19を除くと、メイン以外の売上合計が2億を超えたことがほとんどない(1億8000万を超えたことも少ない)今年の岩手競馬。対して、ダートグレード競走実施日は全て2億を超えているので、これはまあ普段よりも売れてますね。「メインレース以外の売上げは他開催日とさほど変わらない」ということはないかと。



オッズパークGP2007は、主催者側が「地方競馬最強決定戦」だとは言っていない

”地方最強馬決定戦”と喧伝して果たしてファンが納得するか。今回の企画は、むしろ岩手競馬の存続を目的とした急ごしらえの感が強い。

変わらぬ依存体質 (競馬サロン◇ケイバ茶論)


オッズパークの発表でも、岩手県競馬組合の発表でも、オッズパークGP2007の説明に「地方競馬最強決定戦」などという言葉は使われていません。


オッズパークGP2007が「地方競馬最強決定戦」だという“出元”は、おそらくnetkeiba.comの「岩手で地方最強馬決定戦を開催」という記事でしょう。私は開催発表時にオッズパークグランプリ2007に関する情報をいろいろと検索かけて漁ってみましたが、これ以外に「地方競馬最強決定戦」とマスメディアが報道しているのは見ませんでしたし(とりあえず確認が取れたもの→スポニチ河北新報)、これはnetkeiba.comの記事発で出回ったもので、主催者側は関与していないように思われます。



■「年度途中でも赤字が出たら即廃止」という存廃基準はない

存続条件は「年度途中でも赤字が出たら即廃止」ではなかったのか? これでは、納税者でありかつ競馬が吐き出す赤字の負担を強いられている岩手県民に対して説明ができまい。

”収支均衡”を棄てた岩手 (競馬サロン◇ケイバ茶論)


岩手競馬の存廃基準に「年度途中でも赤字が出たら即廃止」なるものはありません。新しい岩手県競馬組合改革計画から存廃条件についての記述を抜粋すると、

(3)競馬事業存廃の基準


平成19年度以降において事業継続の可否は、以下の基準に従って構成団体の長が決定します。
なお、平成19年度については、収支均衡の見通しを踏まえて事業の存廃を決定します。


1.競馬事業存廃の基準
 ○ 各年度において、年度を通じて経常損益で黒字又は収支均衡
 ○ 次年度について、経常損益の収支均衡を達成する見込みがないようであれば廃止
 ○ 年度途中であっても、年度を通じて経常損益の収支均衡を達成する見込みがないようであれば廃止


2.競馬事業継続のための調整
 ○ 競馬組合、構成団体及び競馬関係者(馬主会、調騎会、厩務員会)で構成する岩手県競馬組合運営協議会(仮称)を設置
 ○ 岩手県競馬組合運営協議会(仮称)において、年2回半期毎に、収支状況を検証し収支均衡を図るための調整を実施。なお、調整が整わない場合は廃止


新しい岩手競馬改革計画


なので、廃止が決まるのは「年度で赤字になった」「次年度に収支均衡を達成する見込みがない」「年度途中に、年度で収支均衡を達成する見込みがなくなった」の3パターン。コスト削減で最終的に帳尻合わせられる見込みさえあれば、年度途中で赤字になっても廃止にはなりません。


ちなみに、「収支計画をまた下方修正せざるを得ないが、関係者がどうしても削減できないと言えば、収支均衡を達成することはできない」という副管理者の発言は、他人事というか、「競馬事業継続のための調整」の2番目そのままですね。